【龍笛入門】龍笛の「回し指」って何?流派による違いもわかりやすく解説
- 赤間勝明
- 4月5日
- 読了時間: 4分
更新日:4月12日
パーソナルコーチ LemRec.赤間です。
雅楽や和の音楽に興味がある方に向けて、龍笛の演奏技法の中の「回し指」についてわかりやすく説明していきます。
また、龍笛には複数の流派があり、それぞれで回し指の使い方にも特徴があります。
本記事では、龍笛入門者が理解しやすいように、宮内庁式部職楽部、天理教雅楽部、そして地方雅楽団体の現代的な流派に分けて、違いをご紹介していきます。
ただし、雅楽の技法については、公開されている情報が少なく、口伝伝承が基本となっています。
教えていただいている先生の技法を基本として練習することをお勧めします。
龍笛とは
龍笛とは、雅楽で使われる横笛の一つで、主に舞楽や神事の伴奏に使われる旋律楽器です。
長さは約40cm、7つの指孔があり、本管は竹で作られています。
その音色は天に昇る龍の鳴き声を思わせるような力強さと神秘性を持ち、日本古来の「音で空間を浄化する」役割も果たしています。
回し指とは
回し指とは、ある音から別の音に移るときに、音と音の「間」をなめらかに繋ぐための特殊な指使いです。
ただ指を上げ下げするのではなく、中間の音孔を一瞬経由することで、音に「うねり」や「余韻」を生み出します。
たとえば、「ファ」から「ミ」へ音を下げたい場合、単純に1つの指を塞ぐのではなく、
「ファ~」一瞬「ソ」「ミ」のように滑らかに音をつなぐ動きが入ります。
このように、回し指は音を美しく「舞わせる」技術とも言えます。
なぜ回し指が重要なの
龍笛は、他の楽器と異なり、リズムや和音よりも「音の流れ」や「間」に重きを置きます。
そのため、音のつながり方一つで演奏の印象が大きく変わるのです。
単純な指使いだけでは、機械的で味気ない旋律になるため、回し指を使うことで、音に命を吹き込むことができます。
まるで書道で「はらい」や「とめ」が美を決定づけるように、龍笛では回し指が音の「表情」をつくる重要な要素となっているのです。
流派による回し指の違い
龍笛にはいくつかの演奏流派があり、それぞれで回し指の考え方や技術に違いがあります。
ここでは代表的な3つの流派を取り上げます。
楽家流
雅楽の正統を守る宮内庁楽部では、古式ゆかしい奏法が今なお受け継がれています。
無駄のない動きを重視するため、回し指はごく控えめに、聴覚に「ほとんど感じさせない」ほど自然です。
音の「切れ目」ではなく、「気配」としてのつながりを大切にすると言われています。
ただし、公開されている動画がみつからないため、技法についてはご説明を控えることにします。
天理流
天理教の雅楽部では、情感を込めた表現重視し、回し指をはっきり聴かせます。
複数の中間音を明確に経由して演奏するため、音が「歌っている」ように聞こえるのが特徴です。
民間流派
地方の雅楽会では、演奏環境やメンバーの経験に合わせて、実践的な奏法が取り入れられています。
流派をミックスした柔軟なスタイルであり、回し指は、場に応じて簡略化されることもあり、音の明確さと合奏での調和を優先しています。
大人数の合奏では、あえて回し指をせずに一気に音を変えることもあります。
流派の違いは「音楽観」の違い
それぞれの流派に共通しているのは、ただ技術が違うのではなく、「音楽の感じ方」が違うという点です。
楽家流は、音に「静寂」や「空気」を感じるます。
天理龍は、音に「感情」や「祈り」を込めます。
民間流派は、音を「伝える手段」として柔軟に活用してます。
回し指は、それぞれの流派の哲学や世界観を映す鏡となっています。
あなたの龍笛に合う回し指
龍笛の「回し指」は、単なる演奏技術ではなく、音と心をつなぐ架け橋です。
そして、流派ごとに違うそのアプローチには、それぞれの伝統、思想、場の意味が詰まっています。
初心者の方は、まず自分がどんな龍笛の音に魅力を感じるかを知ることから始めてみましょう。
そして、どの流派の奏法にも共通するのは、「音を丁寧に扱う」という心です。
「この音が、誰かの心に届くように」
そんな想いで回し指を身につければ、龍笛の演奏はさらに深く、感動的なものになることでしょう。
「回し指」の奏法について、公開されている動画をご紹介して、説明を終わらせていただきます。
【雅楽】回し方、チロ、折指 龍笛のフレーズや技術について
演奏:雅楽演奏家・講師 山口創一郎
LemRec.赤間
YouTube動画
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